「お前のバイク売ってくれ」オファーの嵐

アーグラからは、NH11(ナショナル・ハイウェイ11)を使いジャイプル(Jaipur)まで進んだ。走行距離は257km。「地球の歩き方」に載っている、ステファルス・ゲストハウスに向かう。1泊350ルピー(約700円)の部屋。それにしても、バイク移動だと、大きな街では宿を探すのもひと苦労だ。かなり迷った。

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■ガルタ(Galta)から眺めるジャイプルの街並み

宿のまわりの店は、すべて車やバイク関連の店。ほうほう、これはここでバイクを点検しろってことだな。適当に何件か店まわって、適当に英語並べて、点検してもらう方向へ。

スパークプラグ交換。エアフィルター交換。エンジンオイル交換。ブレーキシュー交換。しめて、1,500ルピー(約3,000円)なり。その後、洗車して、タイヤに空気入れて、ガソリン満タンにして。びしっと決めた。キレイな車体、気持ち良い。ただ、インドの街の空気は基本的にホコリっぽいので、次の日の朝には、もうすでに表面はホコリに覆われ、おまけにハトの糞まで付いていた。空気が汚いと、どうしようもないですね。

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■こんな谷間にセクシーなテンポー、Galtaji Temple

バイク旅でいちばん困ってしまうのは、わけのわからない何もないようなところで、うんともすんとも動かなくなってしまうことだ。しかも僕はバイクで旅する者として、あるまじき準備態勢なのである。気持ち的にも、装備的にも。

工具は持っていないし、スペアのタイヤなんてもちろんない。バイクの仕組みや、部品の名前すらほぼわからない。気持ち的にも、インド中を縦横無尽に走り駆けるというのに、まるで「コンビニにちょっと行ってくる」くらいの気軽な気持ちだ。完全に阿呆に違いない。

まぁ、もしわけのわからないところで動かなくなってしまったら、「バイクの修理ができるところまで押し歩いて行けばいいや」ぐらいに考えている。超楽観的だ。ただ、今回見てもらったことで、その最悪のシナリオの可能性はぐっと減少したはずだ。うん。

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■風の宮殿(Hawa Mahal)を見上げて、どアップ

ところで、バイクを売ってくれというオファーがすごい。インド人からのオファーだ。思い出せば、バイクを買ったばかりの頃からずっとオファーが続いている。

コルカタでは、宿のスタッフから、「旅が終わって売るときにはオレに売ってくれ」と何度も一方的に念を押されていたし、バラナシのときの宿のスタッフからは、最初「2万ルピー(約4万円)で買う」と言われつづけ、最後チェックアウトのときになったら、「わかった。3万ルピー(約6万円)で買う」と言われた。アーグラでは、また同じく宿のスタッフから、「3万ルピーとゴアまでの鉄道チケットでどうだ?」と提案され、そしてここジャイプルのお土産ショップでは、「500ユーロ(約61,000円)で買う」というなかなか粋な青年も現れた。

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■旧市街で新しいくつを購入、250ルピー(約500円)

もうオファーの嵐なのだ。しかし、僕は売らない。これは僕のモーターサイクル・ジャーニーなのだ。金額の大小の問題ではないのだ。5万ルピー(約10万円)でもたぶん売らない。インドでのバイク旅が終わったときにはじめて売るつもりだ。これらのオファーから考えるに、少なくとも3万ルピーでは売れそうだ。悪くない。もし、たいした金額でしか売れなかったとしても、それはそもそも、まるで問題ではない。

なぜなら、自分的にはインドでバイクを購入した38,500ルピー(約77,000円)というのは、生き金を使ったと思っているし、おそらく死ぬまで忘れないようなお金の使い方のひとつになるんじゃないかと思っている。だからもうすでに満足なのだ。もちろん高く売れるに越したことはないですけどね。

僕のモーターサイクル・ジャーニーはつづく。
それにしても、インド人は本当にバイク大好きだわ。

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