マレー鉄道でバンコクからマレーシアへ

カンボジアの次はマレーシアに行こうと考えていた。

地理的に、カンボジアからマレーシアへは陸路ではいけない。タイに一旦戻る必要がある。タイからマレーシアへは陸路続きということもあり、ダイレクトに鉄道で移動することができる。マレー鉄道というやつだ。国境を鉄道で超えるという経験は日本ではできない。とてもロマンチックそうなので、当初からそのように移動しようと決めていた。

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■ケップの海岸に腰掛け眺める夕日

ケップからプノンペンに戻り、プノンペンからバンコク行きの直行バスを探してチケットを買った。代金は18USドル(約1,620円)だ。「ちょっと割高だなあ」と思ったが、「たまにはいいか」となぜか思い、それを買うことにした。

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バスはカンボジアのポイペトという国境の街に着いた。そしてイミグレーション(出入国審査)に並ぶ。まわりを見ると、そのほとんどはバックパッカーの若者だ。僕の前には2人組の女子が並んでいる。2人とも金髪で、まゆげがすっぽり隠れるほどのドデカいサングラスをしている。そして立ち話をしながら、タバコをふかしている。まるで夏のビーチで焼きそばを買うときのノリだ。ここは一応、国境である。いや、一応じゃない、ずばり国境だ。手に持つパスポートを見ると「ARGENTINA」という文字が見えた。

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■バスに客引きが殺到、最初はビビったがもう慣れた

世界では年々、国境の存在感が薄まりつつあると言われているが、どうやら本当のようだ。そして無事、入国審査を終え、タイ側に入国。バス乗り場までボチボチ歩いていると、左側にあるフェンスから1人の少年がアクロバティックにそれを飛び越えて来た。「ん?どういうことだ、彼は何者だ?」やはり、国境の存在感は薄まりつつあるようだ。

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バスは無事にバンコクに到着した。
2度目のバンコク。宿の場所も、物価の相場も、メシが美味い店も、街の地図もすべてわかっている。それに、なんだろう。言葉では表現できないような「安心感」がある。2度目のバンコクの街を歩いていて、僕はそれをたしかに感じた。

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■パッタイ(タイ風焼きそば)とフルーツミックスジュース
パッタイは35バーツ(約105円)で激うま、ジュースは40バーツ(約120円)でブルーベリーとバナナの組み合わせ、これ最強コンビ。

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バンコクからマレーシアのバタワース(Butterworth)という街まで行く国際列車のチケットを買った。寝台列車のようだ。値段は1,120バーツ(約3,360円)だった。長距離移動する際は、だいたいいつも、パンや水やお菓子などを事前に買い込んでおく。今回も近くのセブンイレブンで大量に買い込んでから、いざ列車へと乗り込んだ。隣の席はタイ人の女子だった。

長距離移動の際に近くに座った他の乗客というのは、これから長時間を共にする仲間となるのである。長時間近くにいるのに、一言もやりとりがないのは逆にツラい。だからなるべく早い時間帯に話しかけておこうと心掛けているのだが、このとき役立つのが、さきほど買い込んだお菓子などである。

そして毎回「ひとつどうですか?」的な感じで差し出すのだが、今のところ7割ぐらいの確率で要らないと言われている。「な、なぜなんだ?」その割に今回もまた、パイナップルやガムやお菓子などいろいろと貰ってしまった。なんだか旅の最中もらってばっかりなのだ。「Give and Take」がまったくできていない。僕も、誰かしらに・何かしらを与えなければいけないと、つくづく思う今日この頃なのだ。

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■マレー鉄道の列車内の様子、僕は上の寝台だった

彼女の名前はヨオ(Yoo)といった。エキゾチックな顔つき、くちびるの輪郭が鋭くてセクシーだ。しかし、ケータイのメールをチェックしながら豪快に鼻クソをほじるのがとても良くない。せっかくの機会なので、その点についてアドバイスしようと思ったが、あいにくタイ語でそれをなんと言うのか知らなかったため、見ているだけに留めておいた。そんな、彼女はマレーシアを目前にしたタイのとある駅に着くと、笑顔で降りて行ったのだった。

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