国家アイデンティティの保持 vs ウェルカムな侵攻

日本ではタイのことを「タイ」と呼んでいるが、正式名称は「タイ王国(Kingdom of Thailand)」である。王国なのだ。そして、国旗がすべてを物語っている。タイの国旗は、中央の紺が国王、その両側の白が宗教、外側の赤が国民を表現している。街のあらゆるところに、国王や王妃の看板やポスターが設置されているし、商店をのぞいてみても多くの場合、それを見つけることができる。

あるとき、屋台や商店が並び、人通りが多い通りを歩いていた時のことだ。
警官が所定の位置に並びはじめ、わいわいがやがやしていた人々が道路の方を向き整然と起立しはじめた。かなり長い一直線の道路にいたすべての人々が、道路の中央に向かい静かに立っている。不思議な光景である。

しばらくすると、道路の中央を走るように堂々と金色のメルセデス・ベンツが走ってきた。かなり飛ばしている。それに続くように、後ろには2台のBMWが平行して走る。色はたしか紺系だった気がする。その後ろにはパトカー・白バイなどがぞろぞろ続いている。シリラート病院に入って行く。

誰が通ったのか僕にはわからないが、おそらく王室関係者であろう。なぜならこの病院には2009年9月19日から国王が入院しているからだ。僕がこの光景を見たのは、はっきりとは覚えていないが10月17日から10月22日の間である。後日、ニュースで知ったのだが、10月半ばに国王の容態が悪化したという噂が流れたらしい。まさに王室関係者が急いで駆け付けた時のことだったのかもしれない。それならば、かなり飛ばしていたことも合点がいく。

そして興味深いのが、このときタイの株価(SET)が1日半で10%以上も下落したことである。今の日経平均で言うところの、1日半で約1,000円の下落ということになる。大暴落である。

つまりなんなのかと言うと、国民からは絶対視され、経済を左右するほどの存在感がタイの国王にはあるということである。これらのことから国王が国旗の中央なのも頷ける。

おっと、話がかなりあちらこちらへと展開してしまった。話を戻そう。国王の次は宗教(仏教)である。

タイ人の95%が仏教徒と言われ、これまた街のあらゆるところに祠(ほこら)がある。お供えの花があり、線香が焚かれている。そして、若い人からお年寄りまで、そこを通る時にはわざわざ歩みを止め、手を合わせている人が少なくない。街を歩けばこういう風景に幾度となく出くわすので、タイでは仏教が生活の一部になっているのだな、と良くわかる。

タイの国旗にはタイのアイデンティティがもろに出ているというわけだ。

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■カオサンロードと垂直に交わる通りに無数に掲げられたタイ国旗

カオサンロードの喧噪のせいもあって気づきづらいのだが、カオサンロードと垂直に交わる通りには無数の小さなタイ国旗が掲げられている。

僕にはこれは「ますます無国籍化し、徐々にそのエリアを広げているカオサンロード周辺に対する、タイ国家としてのアイデンティティ保持のための国旗掲揚」のように見えた。カオサンロードを見て、そしてこの無数のタイ国旗を見て、まさにこれは「国家アイデンティティの保持 vs ウェルカムな侵攻」なんだなと思った。

しかし、時はグローバル時代。世界の大きな流れには誰も逆らえない。よく見ると、掲げられたタイ国旗のほとんどはぼろぼろである。

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■タイ・バンコクのカオサンロードを歩く

2009年11月7日。ここはタイのバンコク・カオサンロード。現在、タイの時間で23時、土曜日、サタデーナイトです。カオサンロードは300mほどの通り、ちょっと歩いてみましょう。

セブン、ファミマ、スタバにマック、バーキン、サブウェイ。コンビニ・ファーストフード店は一通り揃っています。その他には、各種屋台、レストラン、ゲストハウス、ホテル、パブ、クラブ、バー。マッサージ屋、タトゥー屋、ネット屋、旅行代理店、トゥクトゥクの客引き…などなど。

ご覧のようにお祭り状態。そしてこの大音量、が、かなり遅い時間まで続きます。たくさんの外国人がいますが、やはり一番多いのは欧米人の若者。「バックパッカーの聖地」と呼ばれ、たしかに無国籍感たっぷりですが、これはなにも、ここカオサンロードに限った話ではありません。僕が今まで訪れた東南アジア:ベトナム・ラオス・タイ・カンボジア、の主要都市:ハノイ・ヴィエンチャン・バンコク・シェムリアップ。

ここらへんは、どこもかしこも観光客だらけ。昼も夜もとりわけ欧米人だらけ。観光?いや、違う。これはもう「ウェルカムな侵攻」ではないか、と、思う。左手にロンリープラネット、右手に一眼レフ、背中には巨大なバックパック。

こういうような世界各国の人種が集うような街で、生きていくためには・遊んでいくためには・楽しむためには、どうしてもやはり英語が絶対必要。英語が話せないと、どうなるのかというと、みんなが先に進んで行くのに、ひとり取り残されてしまうんだと思う。カオサンロードを歩きながらそんな風に思います。

タイ・バンコクのカオサンロードからでした。それではまた。

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コメント

  1. やまひろ より:

    動画をみながら、シェムリアップはまだ言ってないんじゃないか・・・?

    と思ったんだけど、
    マレーシアに行くために一回帰ってきたんだね。

    地図を見ながら足取りをきめ細かく追ってます。
    めちゃたのしい!!
    ステキなブログに感謝です。

  2. masanoria より:

    > やまひろ

    この旅で、タイはたしか3回ぐらい行ったよね。バンコクは東南アジアの拠点だね。
    そう言ってくれて、ありがとう!