越知平家会の横川さんにインタビュー

高知県にある越知町(おちちょう)という場所に行ったときのこと。小さな街なのではあるが、この街で誰かおもしろい人にインタビューできないだろうか、と考えた。あてはない。知り合いもいない。商店街を歩きながら、「さぁ、どうするか」と考えた。

ピンと来るお店に入って行って、こう言って尋ねてみた。

「あ、こんにちわ~!ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど…自分は今、自転車で日本一周の旅をしている者なんですが、日本全国を周りながら、その街その街で、人とはちょっと変わったおもしろい人生を歩んでいる人とか、オリジナリティ溢れる活動をされてる方とか、そういう方にインタビューをしながら旅をしているのですが、どなたかそういう方、この辺りでご存じありませんか?」と。

まったく突然の、まったく迷惑な旅人なのであるが、2件目でとある方を紹介して頂いた。「変わったお仕事をされているんですね」と言われたが、「あ、いや、これは仕事じゃないんですよ」と。たしかに仕事みたいだなぁ。突然のお願いにも関わらず、快くインタビューに応じてくれたのは、越知平家会の横川さんだ。

  • 名前:横川正安
  • 出身地:高知県高岡郡越知町
  • 今なにをされているか:越知平家会理事、夢ハウス代表、横川呉服店専務

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■越知町の商店街にある横川呉服店にてインタビュー

芦原
変わった活動をされているという話をお聞きしまして、ぜひインタビューをさせて頂きたいと思いました。本当に突然ですが、よろしくお願いいたします。まずは、学校を卒業したあたりからお話を伺いたいんですが…

横川
高校卒業後に大阪に渡って、サラリーマンを5年間。僕は都会暮らしがあんまり合わなくて。大阪は水と空気が合わなくてね…当時はね、景気が良かったからね、大手でも入れたのよ。高校卒業でも。その後、越知に戻ってきて40年。

越知町は高知と松山の中間にあって、四国山脈の中央に位置している関係で、大正から昭和の時代は栄えてたんよ。この横川呉服店は創業130年で今は4代目。ここの商店街でも、その頃から残ってるのはもう2,3軒。続くことは大変なことなのよね。

芦原
さきほど、観光物産館で昔の商店街の写真を見たんですけど、栄えてる様子が見て取れました。創業130年ですか、すごいですねぇ。130年経って残ってるのは2,3件ですか…

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■その当時の看板の復刻バージョン、時代を感じさせます

横川
それぞれの時代におうた生き方をしないと生き延びていけないわけよ。地域で続けていくためには、お客さんとのコミュニケーションがまずいちばん大事。商品を売り込むよりも、人間関係。まずは自分を知ってもらわなければいけない。だから、例えばいろいろな行事に出向いて、交流して、地域とのつながりを大切にする。衣料品は売ろうとするとお客さんは離れていくよね、大型の店舗もどんどん迫ってきてる。

芦原
僕、ここまで自転車で来たんですけど、「ファッションセンターしまむら」見かけましたもんねぇ。

横川
あったやろ?競争しながら生き延びるには今までと同じやり方ではダメ。それと街に活気がないとダメ。

この近辺は若い人が少なくなっちゃって、高齢者の比率がすごく高くなってるから、限界集落(※過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落のこと)もたくさんある。今は元気なお年寄りが行く場がない。だから、年とって自分のふるさとで生きていく楽しみを作っていきたい。

芦原
それを具体的なものにしたのが、商店街の向かいにある夢ハウスという喫茶店なんですね。皆が集れるような場所。他には、街に活気を生み出すためにやられていることはあるんですか?

横川
呉服店の仕事もしながら、越知平家会という団体を作って、越知町の観光資源である横倉山、仁淀川、大樽の滝、サンショウウオをモチーフにしたせんべいや安徳帝伝説のDVDも作っています。やっぱり、地域の特産品として、目に見えるもの、手に取れるものが必要。

越知町にある横倉山は4億年前に隆起してできた山で日本最古の山とも言われている。源平合戦の壇ノ浦の戦いで生き延びた安徳天皇が隠れ住んだという伝説もあって、安徳天皇陵墓参考地もある。歴史があって、ロマンもある。再来年の2012年にはNHK大河ドラマで平清盛が主役のストーリーも放送されるので、町おこしをして観光客にも来てもらいたい。少しづつ風が吹き始めようとしているから、この灯を消したくない。

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■越知町の観光資源をモチーフにしたせんべいと、安徳帝伝説をアニメ化したDVD

横川
夢ハウスっていう喫茶店もはじめてから10年で、地域の人が集まる場、地域の特産品を発信する場として町おこしのお役に立てればとも思ってる。地域にはなんか、燃える人がいないとますます消えちゃうけんね。田舎だけど生き残る可能性はあると思う。越知には、こんないい資源が眠っているのだから今の時代に活かしたい。その思い。

芦原
熱いですね。旅をしていると、いろんな各地の田舎に行くことも多いのですが、「過疎化、高齢化、不景気、寂れていく」などよく見聞きします。そのような状況のなかで、どうやって街を盛り返していくか。そういったことの具体的な活動をされている横川さんのお話が聞けて、新しい視点が得られました。今日は貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

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