蘇澳で冷泉とか、警察署で寝るとか

台湾での自転車旅3日目は、礁渓(Jiaoxi)→宜蘭(Yilan)→蘇澳(Suao)と進んだ。走行距離45km。

ものすごい蒸し暑くて目が覚める。直射日光がテントを照らしている。9時頃。どうやら今日はぐっすり眠ったようだ。下が芝生だったからだろうか、それとも、慣れない疲れのためであろうか。テントのチャックを開け、這いつくばるようにして出る。いかんせん、このテントから出る様がどうにもこうにもダサい。

顔も寝起きなのでかなりイケてない。まるで、芋虫みたいだ。高級セダンから颯爽と降りてくるような、そんなかっこよさを、テントの出方にも求めたい。かっこいいテントの出方というものを模索していこう、と思った。

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■朝飯はしっかりと自助餐!日本にはこういう店ないですよねぇ、なぜだ?衛生的にダメなのか?

自転車旅はかなり体力を使うようなので、食事はしっかり取らないとダメだと、まだ3日目ながらそのように感じる。自転車にまたがり、メーターをリセットしてから、とぼとぼと宜蘭へ向かった。

宜蘭の街では、休憩がてらにスタバに入った。以前からうすうす情報は得ていたが、台湾のスターバックスでは、wiflyという名のWiFiが飛んでおり、カードを購入することで、WiFiを使用することができるようなのだ。榮倉奈々似の店員にいろいろ聞いて、500元(約1,500円)する30日間有効のカードを購入した。

しかし、どうも最初の登録時にケータイの電話番号が必要なようだ。僕は台湾のケータイは持っていない。げ、困ったぞ。すると、近くにいた男の人が、「僕のケータイの電話番号で登録してあげるよ」と。

ええ、マジっすか、謝謝 very much!

という感じで、無事、ネットにつながる環境をゲット。これで、自転車・テント・インターネットと申し分のない装備が完成した。うす。

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■裏にIDとパスワードが記載。これで台湾全国のスタバでインターネット可能に

宜蘭のあとは蘇澳へと向かった。蘇澳は冷泉が沸く街として有名だそうで、「冷泉とはなんぞや?」ということで、ひとっ風呂行くことにしてみた。この冷泉は飲むことも可能なようで、僕が入った施設の入り口には冷泉の出る蛇口があり、ペットボトルに詰めて、どんなものかと飲んでみた。感想は、「ペリエを軟水にし、ちょっと硫黄を入れました、みたいな感じ」だ。うまくはない。

冷泉の温度は22度とある。湯船に入る。22度というのはこんなに冷たいのか、と思ったが、不思議と苦ではない。ほんのり温かいような、いや、でもやっぱり温かくはないような、よくわからない感じ。そして、体中がしびしびする。不思議な感じだ、おもしろい。ここは来てよかった。うむ。

外に出るとあたりはすっかり夜。「とりあえず夜飯だな」ってことで、自転車で街を徘徊しながら良さげな店を見つける。僕の自転車はスタンドがないので、柱にもたれかけるように自転車を置いていると、そこで食事をしていた人に話しかけられる。中国語でだ。

ちなみに、僕のルックスだと、今のところ、どの街のどの店に入ってもフツーに中国語で話しかけられる。ということは、つまり、台湾人だと思われているということだろう。僕が思うに台湾人というのは、韓国人や中国人よりも日本人に近い顔つきをしていると思う。平均的にね。

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■なんか、大浴場は営業してなくて個室へ、ぶくぶくいってますね、しびしびきますよ

そして、話しかけてきた彼の名はEric Liao、台湾人だ。彼もまた自転車で台湾を一周している旅人だそうだ。しかも今日がその1日目だという。今日の1日で台北から蘇澳までやってきたらしい。ひいい。

一緒のテーブルでメシを食うことにした。お互いつたない英語で会話をした。明日の目的地が一緒だったため、「明日、一緒に行かないか?」と誘ったら、OKと。頼んだメニューとは別に一品、野菜炒めが運ばれてきた。Ericいわく、食堂のおばちゃんのご好意とのことだ。

ええ、マジっすか、謝謝 very much!

僕がテントで寝泊まりしているというと、まわりにいたお客さんも巻き込んで、「あっちに安いホテルがある」、「どこどこにお寺がある」と、いろいろアドバイスを頂いた。そんなこんなしていると、隣の店から、おじいさんとおばさんが登場。なんと2人とも日本語を話せる。おぉ、これが噂には聞いていた、「台湾のお年寄りは日本語を話せる」というやつか。なんか変な感じだ。バリバリの日本語だ。

そして、「この辺は野犬やヘビが多いので野宿はやめたほうがいい」と。「だったら警察署に行きなさい」と。「台湾の警察は、外国から来た人を追い返したりしないから大丈夫だ」と。警察に一晩泊めてもらうことを強く勧められた。が、僕は正直、気が進まなかった。

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■麻醤麺とピータン豆腐、このあと、おばちゃんのご好意で野菜炒めもテーブルに並ぶ

例えば、「財布を盗まれてお金がまったくないので、とりあえず今日の一晩だけ警察署に泊めてください」ならわかる。だけど、僕はどこかの安宿に泊まるぐらいのお金なら十分に持っている。宿代を浮かすために、警察署に泊めさせてもらうような格好に結果的になるので、それはいかがなものかと自分で思った。

しかし、あのおじいさんの真剣なまなざしの前で、「じゃあ、警察署を尋ねてみます」と僕は言ったのだ。あんな熱心にアドバイスをしてくれたおじいさんとの約束を破るわけにもいかぬ。

とりあえず、警察署に行ってみて、ヨユーで門前払いくらって、そのあと、どっかでテキツーにテント張るべ、と、今後のこうなるであろうというストーリーを頭で描きながら警察署を訪れたのだが、これが、あれよあれよという間に、「じゃあ、この部屋使っていいよ」ということになったのである。

ええ、マジっすか、謝謝 very much!

さらには、「のどがかわいたらあそこの水飲んでいいよ」、「ソファのところでテレビも見れるよ」、「シャワー浴びるか?腹減ってないか?」などなど、申し訳ないほど親切にしていただいた。

今日はたくさんの台湾の人の親切に触れた1日であった。そんな親切に感謝しながら、蘇澳の警察署にて眠りにつくのであった。

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