九份、福隆、大渓、礁渓

人生初の野宿はなにごともなく、無事に朝を迎えた。AM5:00。ちょっと早起きすぎるかと思ったが、人々が動き出す前に撤収したいという思いのほうが強かった。恥ずかしいのだ、「え、なんなのこの人?」と思われるのが。極めて小心者だなぁ、と自分で思う。

本日は、とりあえず、九份(Jioufen)に向かってみようと。ここは有名な観光地らしく、本当かどうか知らんが、あのジブリの「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった場所という話もちらほら聞く。ほうほう、そいつは興味深い。方角的にも通る場所なので、ちょっと寄って観光してみようと。

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■2ケタの距離なんて超ヨユーとか思いながらも、意外と時間かかった

山の途中の小道にたくさんのお店が軒をつらねている。誰かのブログに、「大山の参道のようだ」と書いてあったが、たしかにそんな感じもある。細い道に観光客がごった返している。ぼちぼち日本人のグループもいるようだ。一通り歩いてみた。しかし、僕にはこれは、完全に観光汚染されているものとしてしか見ることができなかった。威勢のいい客引き、カップルで食べ歩き、ありきたりな場所に我きたり…

そして、日本人グループを引き連れるガイドの言葉がとても印象的だった。
「写真撮る人はカメラ出してください、ここ有名なところですから」

観光ってなんだ?食って、歩いて、買って、笑って、撮る?細分化してみると、本当たいしたことしてねぇな。ひとくくりに、それらを「観光」という単語で表現すると、ものすごい響きはいいですけどねぇ。

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■ん~、ちょっと、僕は楽しみ方を見出せませんでしたねぇ

九份のあとは、標識に福隆(Fulong)と出てきたので、福隆という街を目指すことにした。九份は山。この山越えがなかなかハードだった。勾配は甘くはないし、上に登るにつれて霧は濃くなるし…

バイクのときは、山越えだろうが、なんだろうが、ガソリンで走ってくれるわけで、なんとも気にならなかったけど、自転車は人力オンリーですからねぇ。山、キツいですねぇ。とはいっても、不満を口にしても一歩も進まないわけで、苦い顔をしながらも、コツコツとペダルをまわした。で、しばらくして福隆に到着。

ここは「福隆海水浴場」という海水浴場があるみたいで、「ちょっと行ってみるべぇ」と。

昨日はシャワーも浴びてないし、今日もまぁ、ヨユーでテントの予定なので、シャワー代わりという計算も内心ある。近くまで行ってみると、ゲートがあって、入場料を取るようだ。90元(約270円)。海水浴場に金払って入るなんてはじめてだよ。一瞬パスしようかと思ったが、せっかく来たわけだし、しぶしぶ入場料を払う。

そのゲートからビーチまでを歩いていると、雨がぱらぱらと降ってきた。「まじかよ、くそついてねぇ」。みんなぞくぞく帰っていくし。「あー、失敗した」。しかも、ちょっと肌寒いし。結局、海には入らず、雨の防げる橋の下の砂浜で昼寝するに終わった。

「ちっ、なんかいろいろ、イマイチだな」。

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■寺とビーチってなかなかない組み合わせですよねぇ @ 福隆海水浴場

あとでわかったが、海水浴場内には無料で使えるシャワー室が完備されていたので、さきほどの入場料は、まぁ、悪くはない。

そのあとというもの、左手に太平洋を見ながらコツコツとペダルをまわし、大渓(Dasi)というエリアの魚市場が活気があったのでぶらりと立ち寄り、つまみを買い込み、波打ち寄せる防波堤にひとり座って休憩を入れた。そして、本日の最終目的地を礁渓(Jiaoxi)に決めた。

地図を見ているとそこには「温泉」の文字があったからだ。温泉。どれほど憧れていただろうか。今までほとんど、ってゆーか全部シャワーだった。それも水。コールドシャワーだ。風呂につかるのは中国の天津で宿泊したホテルぶり。実に9ヶ月ぶりだ。その間ずっと、水シャワーだった。これはアジアを旅するバックパッカーの基本であるわけだが、そんなわけで、温泉に憧れずにはいられない。

礁渓の街に入ると、ホテルや民宿が乱立し、そのどれもが温泉を売りにしているようだ。正真正銘の温泉の街だ。パラダイスだ。しかし、僕は温泉のみの利用でいいのだ。温泉のみの利用は、「泡湯」というらしい。80元(約240円)で入れる場所を見つけ、入る。日本のそこらへんにある浴場となにも変わらない。

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■テントのなかってものすごい蒸しますねぇ、知らなかったっす

夢にまで見ていた温泉だったが、実際入ってみると、別になんということもなかった。要はただの風呂だ。むしろ熱くてフラフラになってしまった。「水シャワー」と「温かい風呂」にはものすごい隔たりがあると思っていたが、実際思っていたよりかは全然、隔たりは少なかった。意外だった。

温泉から出たあと、少し涼み、そこらへんの公園というか芝生にテントをセットし、寝た。走行距離99km。

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