地図(マニュアル)を捨てる勇気

今までは基本的にナショナル・ハイウェイ(NH)という幹線道路を走ってきた。最初のころ、つまり、バイク旅のスタート地点であったコルカタ(Kolkata)からハルディア(Haldia)、ディガー(Digha)あたりまでは、何もわからなかったので、そこらへんの名もなき道をむやみに走っていた。

朝から夕方まで走って100kmちょいしか進めなかった。それほど、道路状況が悪いということである。

それ以降は、ナショナル・ハイウェイを主に使うようになった。なにせ、アスファルトでキレイに舗装されている場合が多く(たまにガタガタ)、道幅も広くて、中央分離帯で上下線が区別されている場合もあるし、英語併記の標識があってと、とても走りやすいのだ。朝から夕方まで走って100kmちょいしか進めなかったのが、300km以上の距離を進めるようになった。

その快適さに慣れてしまい、ナショナル・ハイウェイ以外は走りたくないと思うようになっていた。と同時に、こんなぬるま湯のような道しか走らず、「なにがバイク旅」という気持ちもあった。

宿のとなりのレストランで夕食をとり、お会計のとき、「明日はゴア(Goa)に向かう」とレストランのおやじに言うと、外を指差し、「あの道を進むといい」とのアドバイス。僕は地図を見せ、「NH4とNH4Aで行くつもりだ」と言うと、「それは遠回りで、あの道を使えば100kmほどセーブできるぞ」と言う。

外に出て、その道の前に立つと標識があった。「GOA 158」。

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■標識の文字も手書き風、なんだか不安な道です

たまたま泊まった宿の前に、たまたまゴアに通じる道。「幹線道路ばかり走らないで、こういう道も走れ」というサインで、必然的な巡り合わせと僕は勝手に解釈した。

翌日、宿の前の道から進むことにした。予想通り、道は狭く、路面もガタガタだ。標識は定期的にあるのだが英語併記がないので、まるでわからない。「やっぱダメだ。戻って素直にナショナル・ハイウェイで行こう」と思ったが、ある程度、進んでしまっていたので、それもダルい。観念してそのまま進んだ。

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■見るからに快適な道、これがナショナル・ハイウェイ4

距離に対していつもの倍ぐらい時間がかかった感覚だ。スピードが出せないし、さらにそれを保てないからだ。しかし、ナショナル・ハイウェイを進んでいるときには感じられない、冒険感のようなものを感じることができた。わくわくした。たまにはこういう道も使うべきだと思った。ナショナル・ハイウェイ(幹線道路)しか使っていなかった自分の旅を恥じた。

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■峠も走ります、峠は本当に事故が多いです

もしかしたら、ある程度慣れてきたら(ある程度のレベルに達したら)、地図(マニュアル)は捨ててしまったほうがいいのかもしれない。地図は便利だけれども、地図があるせいで、進む道が限られてしまうという負の側面も持ち合わせている。知らない間に縛られて、そして、縛られていることにさえ気付かなくなる。

もっと自由に進むためには、地図を捨てる勇気が必要なのかもしれない。

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■道端から振りまく全開の笑顔、ひまわりには相手を笑顔にする力があるんですね

ゴアには無事到着。走行距離は記録するのを忘れてしまったため不明。
まぁ、でも158km+ちょいだと思われ。

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