ダマン(Daman)のゲートくぐって禁酒法解禁

ヴァドーダラーで泊まったホテルは久しぶりにバスタブが付いていた。バスタブは久しぶりである。うーむ、思い返してみるとじつに中国の天津ぶりだ。この辺じゃあ、バスタブは高級ホテルにしか付いていないのだ。

といっても僕が払ったのは、1泊で500ルピー(約1,000円)。そして、そのバスタブは軽く5年はまったく洗ってないだろうと予想できるほどに汚い。ここにお湯を張り、体を浸けるなんて想像しただけで吐けてくる。僕の部屋は4階だったが、3階は柱を残してすべて解体されており、外がそのまま見える。バスルームはバスタブがそんなんだから、天井ももちろん問題ありで、カビが生え、腐り、穴が空いている。

何も知らないまま、うがいでもしようものなら、その驚愕の汚さに水をそのまま飲みこんでしまうだろう。何かの拍子に、ちょっと触れようものなら、5階が落ちてくるに違いない。

他の宿泊者の気配も感じられず、しーんと不気味に静まり返り、とにかく薄気味悪い。かつてはそこそこのホテルとして名を馳せていたのだろうか。今では完全に死んだホテル。他に何件もの宿を見てまわったが、ここしか空いてなかったのだ。

paneer-dudu
■最近ハマってるのが、パニール料理(パニールとはチーズのこと)+ナン(or チャパティ)の組み合わせ

だいたいウダイプル以降、宿探しが難しくなってきた。「外国人の宿泊不可」という宿が増えだし、さらに空室率が下がり、ホテルの設備に比べ値段も張るようになってきた。

そう考えると、観光地というのは宿の条件が良い。外国人旅行者が集まり、そのためホテルが多く、自然と値段もリーズナブルに落ち着く。バックパッカー向けにと、ドミトリーがある宿もある。その点、観光客が来ない大きめの街の宿は本当に良くない。

この宿では、朝起きたら寝汗でびっしょり、バイクにはハトの糞がべっとりだった。こんなところは、さっさとおさらばするのが一番なわけで、次の目的地・ダマン(Daman)に向けてすみやかに出発した。

mutter-paneer
■日本でいうところの「漬物の小鉢」的な感覚で、タマネギとレモンが付いてきます

AM7:10。出発の最早記録。空気はひんやりとして、バイクの上では肌寒いほどだ。きりっとした空気のなかを進んでいくのはすこぶる気持ちが良い。ランニングをしているおじさんも見かける。やはり、「朝を制する者は1日を制す」だと思う。

NH8を爆走。朝日が左手に見える。つまり進行方向は南、あってる。太陽が高く昇った昼間でも、以前のような暑さはない。これはまだ耐えられる暑さだ。小学生の頃、夏休みに学校のプールに泳ぎに行って、昼頃に家へと帰るときの暑さぐらいだ。悪くない。南に進むとさらに暑くなるのかと心配していたが、どうも違うらしい。やはり、アフマダーバード(Ahmadabad)周辺は異常地帯だったようだ。

palak-paneer
■基本的にナンは安食堂ではメニューにありません。上のがチャパティで、右のがナン

GJ(グジャラート州)の車両ナンバーのなかに、ちらほらDD(Daman & Diu)のナンバーが混じってきた。ダマンが近づいていることを教えてくれる。しかし、標識は出ておらず、いまいち行き方がわからない。何人もの人に道を尋ねながら進んだ。そして、ダマンのゲートをくぐる。

ダマンはその昔、ディーウやゴアとともにポルトガルの植民地だったエリアだ。現在は、「ダマン・ディーウ連邦直轄地域」として扱われている。驚いたのは、ダマンのゲートをくぐった瞬間に道路の両サイドに酒屋やバーが林立。地理的に禁酒法のグジャラート州に包まれているような場所なので、酒が買える・飲めるというのはかなりのセールス・ポイントなのだろう。

ゲートくぐって、禁酒法解禁。「はい、酒、解放ー!」みたいな。わかりやすくて、おもしろい。市街地でも酒屋やバーだらけだ。酒に対してものすごいオープンだ。他のインドの街ではこうはいかない。走行距離299km。

masanoria_336